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【魂に効く絵本】『イオマンテ』いのちの重み、食の重み

 優れた絵本、児童書は、大人の心をもわしづかみにし、揺り動かします。



     まるで恋のように。


 
      ':・:*:. ☆ .:*:・:'



形態は絵本ですが、字数が多くて内容も高度。

児童書の範疇に入れた方がいいでしょう。

おとなにもずっしりと響きます。


魂に効く絵本  ~絵本は恋に似ている~ 2006.5.12 第14号
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イオマンテ
  寮 美千子 作、パロル舎(小学校高学年くらいから)
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 ~あらすじ~

「今日は山へ、キムンカムイ(山の神様)をお迎えに行くぞ」

早春の山に猟に出かけた父さんは、三日後、

たっぷりの熊肉と立派な毛皮、

  そして、生まれて間もない熊の子を連れて 帰ってきた。


母さんが熊の赤ちゃんをすぐに抱き取った。

「おおよしよし。寒かったでしょう、怖かったでしょう」

そう語りかけて、自分のおっぱいを含ませる。


その夜、コタン(村)のどの家も、お腹いっぱい、

おいしい熊肉のオハウ(煮込み)を食べた。

お父さんが背負って持ち帰った肉だ。


それ以来、熊の子と僕は、きょうだいのように暮らした。

同じ布団に寝て、同じご飯を食べた。

外でコロコロ遊んだ。

いっぱい相撲も取った。

熊の子が迷子になったとき、僕は青くなって必死で探した。

やっと見つけたとき、

熊の子は、切ない声を上げてまっすぐ僕に向かって駆けてきた。


それから約一年近くたった真冬のある日、

ずいぶん大きくなった熊の子が突然、

降りしきる雪に けだもののような声で吠えかかり始めた。


驚いて熊の子を懸命になだめようとする僕に、父さんは言った。

  「心配するな。そろそろカムイの国に帰りたくなったんだ」

  「カムイの国って?」

  「この子の母さんのいるところさ。

  この子の母さんはね、

  たくさんの肉を背負い、毛皮の服を着て

  カムイの国から遊びにきてくださった。

  そしてこの子を私たちのところにあずけ、

  カムイの国へ帰っていかれた。

  今頃はカムイの国で、この子が来るのを、

  今か今かと待っておられるだろう。」

  父さんは、僕の方にそっと手を置いた。

  「だから、この子を送って差し上げよう。
             カムイの国へ。」(p28より)



         ・
         ・
         ・




      ‘:・:*:. ☆ .:*:・:'




アイヌ民族の荘厳な儀式、熊送り(イオマンテ)を通して

「いのち」の重さ、

その重い「いのち」を食事としていただくことの痛みを

詩のような美しい文体で秀逸に描き出した、名作。


大切に大切に育てられた熊の子は、

イオマンテの祭りの中で殺され解体され、

その肉は村中の人にふるまわれる。


熊の子をただ飼って太らせて、屠るのではない。

決して家畜ではないのだ。

カムイ(神さま)の化身を、お預かりして、またお見送りするのだ。

ぜひまた、この人間の里へ遊びに来て下さい、という祈りをこめて。



我が子同様に育ててきた村の女も、

きょうだい同様に暮らしてきた子ども達も、

胸のつぶれる想いに耐え、泣きながら敢えてその肉を口にする。



  それから、肉のオハウが出てきた。

  あぶらみばかりの、

  とろりとおいしい、あつあつのオハウだ。

  おいしい、おいしいとぼくはたべ、

  それからふいに思い出した。


  これは、あの子熊の肉。

  ついさっきまで、子熊だった肉。

  ぼくは、子熊をたべている。


  ああ、あのときもそうだった。

  子熊がここにきた夜に、

  おなかいっぱいオハウをたべた。

  あれは子熊のかあさんの肉。

  ぼくは、子熊のかあさんをたべたんだ。


  それだけじゃない、みんなみんな、

  兎も、鹿も、さけやますも、

  ぼくはいのちをたべている。

  みんなのいのちをたべている。

  ぼろぼろ、なみだがこぼれてきた。(p46より)



エカシ(長老)が言う。

「泣くんじゃない。

子熊のカムイが悲しまれるぞ。

さあ、楽しく送って差し上げよう。」



わざわざ肉と毛皮を背負って

カムイの国からはるばる来て下さったカムイを、

精一杯のおもてなしで楽しませ、送るために、

イオマンテの夜は、

村中で夜通し、飲んで歌って踊って食べ、楽しく笑いさざめく。

カムイを喜ばせるために。



      ‘:・:*:. ☆ .:*:・:'



カムイからのお預かりものである幼い熊の子を、

家族同様に、大切に大切に、愛情を注いで育て、

時がくれば

たくさんの捧げものとお供えを何日もかけて入念に用意し、

敬意と礼儀を尽くした儀式でお送りする。



ただ送るだけではない。

ついさっきまで抱きしめ頬ずりしていたその愛しい身体に包丁を入れ、

料理して、食べる。

涙にくれ、そして心から敬意と感謝を捧げながら。

また会えることを、カムイとして再び訪れてくれることを、

心から祈りながら。



自分たちが、大いなる大自然の一部として生かされていることを肝に銘じ、

普段、何気なく口にしている命の尊さを体で思い知るための仕組みとして、

これ以上の仕組みがあるだろうか。


この仕組みを「祭祀」とした狩猟採集民族、アイヌの民の

その叡智の深さ、その生命観の厳しさ。

大自然に対する畏敬の念と、感謝の念の、深さ。

その、謙虚さ。



      ‘:・:*:. ☆ .:*:・:'



自分たちがいただいている命の尊さを体で思い知る。

普段何気なく食べている肉は、さっきまで息づいていたいのち。

つぶらな瞳と温かな肌を持っていただろう、誰かの子ども。

誰かのきょうだい。

誰かの親だったかもしれない存在。


肉だけじゃない。

魚はもちろん、野菜だって、いのち。



私たちは、他者のいのちをいただかなくては、生きていけない。

光合成をしている植物以外、どんな生き物も、

他者のいのちを分けてもらわなければ、生きていけない。

私たちは、地球上を循環しているいのちの一部。

死んで、他のいのちの一部となり、

生まれて、

他のいのちを取り入れ続けて生き延びていく。



私たちは、生かされている。

他のいのちの累々たる屍の上で、生かされている。


その厳しさ、その責任を、甘んじて引き受けて生き続けるしか、ない。

与えられたこの命を、

引き継ぎ、十全に生かしていくしか、その重責に応える術は、ない。




私たちは、命をいただいて生きている。

命は、こんなにも尊い。

命を奪う行為というのは、こんなにも重い。



私たちは、スーパーでパック詰めの肉や魚を買うとき、

野菜を買うとき、

どのくらいその痛みやその重さを感じているのだろうか。


どのくらい感謝していただいているのだろうか。




  だから、こどもたちよ、よくおぼえておくんだ。

  一粒のあわもひえも、

  一切れの肉も魚も、みんないのち。

  わたしたちは、いのちをたべている。

  いのちと魂との、おおきなめぐりの中にいる。

  すべては、めぐるいのちのめぐみ。

  すべては、めぐるいのちのめぐみ。(P64より)





      ‘:・:*:. ☆ .:*:・:'



イオマンテ

『イオマンテ』 寮美千子 文 /小林敏也 絵 出版社:パロル舎
(小学校高学年くらいから)



      ‘:・:*:. ☆ .:*:・:'



「生かされていることに感謝し、

その尊さその重さをひしひしと感じながら、

他の命を謹んで食すこと」


「大いなるいのちの流れの一部にすぎないことを良く認識して、

謙虚に、対等に、他のいのちを遇すること。」


私たちは、残念ながら、他の命の累々たる屍の上にしか、

生きていられないのです。

いえ、それを「残念ながら」と表現するのが

おこがましいかもしれません。



大いなる命の流れの一部として内包されていることを喜び、

感謝しながら、と表現するべきなのかもしれません。



私たちは生かされていて、そして大きないのちの流れの一部。

私たちは、孤独ではない。

私たちは、分断されていない。

私たちの身体を構成する分子は、すべてこの地球の一部。

ビッグバンの昔から、

恐竜の身体の一部だったりマンモスの身体の一部だったり、

生々流転を繰り返してきた分子で、

私たちの身体は構成されている。



私たちの身体は、この地球に属している。

他のすべてのいのちときょうだい。



すべて一緒なのかもしれません。

どちらがどんなタイミングで食べられようとも。


これがワンネス。

これが種を超えた愛。



どの「いのち」も光。

その「いのち」も、大切な輝く存在。

どの「いのち」も、誰かのこども。誰かのきょうだい。

でも、私たちはそんな重いいのちをいただかなくては生きていけない。

私たちは、そんな唯一無二の愛しいいのちを食べ続けて、今日がある。


その重み、その痛みを感じることこそ、

「種を超えた愛」を感じることではないか、と思うのです。



魂に効く絵本 ~絵本は恋に似ている~
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テーマ : 児童文学・童話・絵本
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

スピリチュアルコーチたまちゃん

Author:スピリチュアルコーチたまちゃん

私は元・対人恐怖症という変わり種コーチです。

精神的な不安定さや傷つきやすさ、
傷ついたインナーチャイルドなど
数々の内面の問題を抱えていても
少しずつ回復できるんだ、
自己肯定感は大人になってから育てることができるんだ、
満ち足りて幸せに、天職に就いて豊かに暮らしていけるんだ、
という生きた見本を目指して日々奮闘中。
(つづきはこちら)

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